ロイヤルカスタマーとは?定義とメリット、育成方法をご紹介

飲食店向け情報

優良顧客(上客)という言葉があります。優良顧客は、お金の支払いが多くお店の売り上げに大きく貢献してくれるお客様で、あらゆるサービス業に存在するため飲食店も例外ではありません。
優良顧客と似た言葉に、本記事のロイヤルカスタマーというものがあります。ただし、優良顧客とは異なり、支払いがよいお客様だけを指すものではないのが特徴です。
本記事では、どのようなお客様をロイヤルカスタマーというのか、その存在を増やすメリットや ロイヤルカスタマーの方を利用した戦略についても解説します。

ロイヤルカスタマーとは

ロイヤルカスタマーとは一言でいえば、最強の優良顧客です。
特徴として、「競合のお店に行かない」、「繰り返し使ってくれる常連である」、「口コミの発信源になる」という点があり、そして、これらの特徴をすべてクリアしている優良顧客がロイヤルカスタマーと位置付けされます。

競合のお店に行かない

例えば、自店がとんかつ屋だった場合、近隣、あるいはチェーン展開しているとんかつ屋に行くことはしません。極論を言えば、飲食店利用はとんかつ屋である自店だけという方もいます。
この傾向・行動は徹底されており、競合となるとんかつ屋がキャンペーンや値引きを実施したとしても誘いに応じません。このようにお店に対して、非常に愛着を持って接してくれます。

繰り返し使ってくれる常連である

好んでお店を利用し、しかも毎週好んで繰り返し来店してくれます。昔ながらの言い方でいえば「常連」、最近の言葉でいえば俗にいう「ファン」に近い存在です。
繰り返し来店してコミュニケーションを取るうちに、店舗スタッフの家族事情まで知っているような方も該当します。単に近いから、安いから、味が好みという理由ではなく、店舗そのものを好んでいます。

口コミの発信源になる

ロイヤルカスタマーは、知人や友人、SNSなどから不特定多数に向けて自発的なお店のアピールを行い、集客してくれるとても貴重な存在です。まさに一途にお店を利用し、広告塔としても活躍してくれます。このような特徴を持つロイヤルカスタマーについて、優良顧客との違いとともにご紹介します。

大きな違いの点は、自分の飲食店に対する「愛」「信頼」の有無です。
ロイヤルカスタマーは自店に対する愛と信頼を持っていますが、優良顧客は持っていません。ロイヤルカスタマーは先ほど触れたようにお店を愛してくれるため、浮気のように他店へは行きません。その点、優良顧客は売り上げに貢献こそしてくれるものの、近い場所や少し好みのお店ができればそちらへ移動します。また、他店に行くのが面倒という理由で通っている常連客もロイヤルカスタマーとは言えません。あくまで優良顧客になります。
このように、愛と信頼によってお店を利用し、乗り換えをしない安定感があり、さらに口コミの発信源であるのがロイヤルカスタマーです。まさに、理想のお客様です。

ロイヤルカスタマーを増やすメリット

これまでの内容から、ロイヤルカスタマーを増やすメリットは充分に感じていただけたと思いますが、メリットを具体化すると大きく次の3つが挙げられます。

ロイヤルカスタマーを増やすメリット
  • 収益に大きく貢献する
  • 広告費を削減してくれる
  • ロイヤルカスタマーが増える

収益に大きく貢献する

ロイヤルカスタマーは、店舗を頻繁に利用してくれるため、収益に大きく貢献する存在です。そのようなロイヤルカスタマーを増やせば増やすほど収益は上がります。さらに安定して利用してくれるため、収益の安定化にも貢献してくれるのが特徴です。一人のお客様が人生のうちにお店にどれだけの利益をもたらしてくれるか、一人のお客様を獲得することでどれだけの売り上げを見込めるかを算出する方法に、LTV(ライフタイムバリュー)というものがあります。
イメージできるように、ロイヤルカスタマーだけに絞りLTVを算出した場合、非常に高い数字になります。すなわち、ロイヤルカスタマーを増やすことで、一人のお客様を獲得した際の売り上げのベースアップが可能なのです。

広告費を削減してくれる

広告宣伝費は、販促にとってメインの負担です。
最近はターゲティングの精度も高くなり、「好きなサービスカテゴリ、性別、年齢、エリア」などでポイントを絞ってアプローチできるようになりましたが、それでも多くの広告はランニングでコストをかけて収益を上げるモデルであり、対費用効果が一気に改善することは難しいものです。
その点、ロイヤルカスタマーは口コミで新しいお客様を呼んでくれます。口コミによって相当な広告効果が得られ、広告出稿する必要がなくなり、広告費の削減に繋がります。

ロイヤルカスタマーを増やす

ロイヤルカスタマーはお店を好きという点から、思いを持って強く紹介してくれます。
その為、新しく紹介された方にとっての評価が高くなり、自然とロイヤルカスタマーが生まれやすい状況になります。

ロイヤルカスタマー戦略

ロイヤルカスタマーは、成長の起爆剤になるポテンシャルを秘めています。
ロイヤルカスタマーを増やす3つのステップを紹介します。

お店独自のロイヤルカスタマーを決める

どのようなお客様をロイヤルカスタマーとするかを決めます。
例えば、「利用回数は月4回以上、競合店のキャンペーン期間中も来店、2人以上の新規顧客を紹介してくれた」といったものです。お店にとってのロイヤルカスタマーを明確に定義することで、アプローチ方法を可視化できます。

ロイヤルカスタマーを見つける

実は顧客の中には、ロイヤルカスタマーが隠れている場合もあり、見つける手法として「カスタマージャーニーマップ」がよく利用されます。カスタマージャーニーマップは「お客様がお店との関わりの中でたどる一連のプロセスを図と短文でまとめた物」になります。ペルソナ(顧客像)を設定し、どのようにロイヤルカスタマーになっているかを構築するのです。

新規顧客をロイヤルカスタマーにする

最後がこれらの施策を通じて新規顧客をロイヤルカスタマー化します。
「お店独自のロイヤルカスタマーに該当しているか?」、「ロイヤルカスタマーに近い存在のお客様はいないか?」、「ロイヤルカスタマーに成り得るお客様なのか?」一人ひとりの現状況を把握し、足りない部分を補いましょう。また、効果をしっかりと検証することで施策が正しいのか誤りなのか明確になります。必ず効果測定を行いましょう。

NPSを使った優良顧客の見分け方

ロイヤルカスタマーの候補である優良顧客を見極める方法として、NPS(ネットプロモータースコア)が有名です。
NPSは、お店を利用してくれたお客様に対して「あなたはこのお店を勧めますか?」と質問し、0~10点(11段階)で点数をつけてもらい、その点数によって分類する手法です。
人に勧める(推奨度)を測定するので、ポイントが高いほど「高い満足状態」「一定の信頼性」をいだいていただけている状態なのが確認できます。
「9・10点」の場合は、「推奨者=愛着を持って周囲に進めてくれる」すなわち、ロイヤルカスタマーになる可能性があるお客様または、すでにロイヤルカスタマーのお客様の場合があります。

ロイヤルカスタマーに関する注意点

ロイヤルカスタマーに対しては注意点もあります。
それは、お店から積極的に関わりをもつことで、満足度の向上を継続・維持することです。
特別感を覚えて来店していただけているのですが、その反面、特別感を求めて来店している場合が多くあります。
お店を愛しているから期待も多くなります。期待を超えるサービスの提供を意識し、常に先手のアクションを取り、話しかけや満足いただけるサービスの提供を心がけましょう。

まとめ

ロイヤルカスタマーは、お店を愛し、安定した売上を提供してくれ、新規顧客の開拓まで行ってくれます。単なる売上獲得のためのお客様とは別物の存在です。来店を獲得し続け、安定した店舗運営を実現するためにも、質のいいサービスの提供を行い、高い満足感と高い推奨度を獲得する必要があります。
そのためにも、ロイヤルカスタマーの存在をしっかりと意識し、一人でも多くのロイヤルカスタマーの獲得にむけてアプローチを続けましょう。

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