【飲食店の人材育成】新人アルバイトスタッフを教育するメリット

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質の低い教育環境は、人材を失うことに

言わずもがな、接客は飲食店にとって重要な要素の一つです。
そのため、アルバイトスタッフの教育が大切なことであることは周知の事実だと思います。しかし、日々の業務に追われて教育を後回しにしてしまっていることも少なくないでしょう。
日々の業務と満足度を優先した結果、上手く育てることができず、期待していた貴重な人材を失ってしまうこともあるのです。それでは、質の低い教育環境がなぜ人材を失うことになるのか、どのようにすれば教育環境を高められるのかを紹介していきます。

飲食店で人材教育に失敗する原因

従業員が育たない原因として主に上げられるのが次の3点です。

  • 原因1:教育ではなく、指示になっている
  • 原因2:コミュニケーションが不足している
  • 原因3:教育に必要な知識やノウハウが不足している

原因1:教育ではなく、指示になっている

教育のつもりで行っている言動が実は、指示になっていることがあります。
たとえば、業務で苦戦している際に考え方ではなく、直接対処方法を伝えることです。スピード感もあり、明確な行動に思えますが、相手のステージによっては指示をもらうことが当たり前になり、自分で考えて動くことを放棄してしまう可能性があります。
考えて動く機会を奪ってしまうと、考えて成長する機会も失われてしまうのです。

原因2:コミュニケーションが不足している

コミュニケーション不足は店舗運営に支障が出るだけではなく、育成失敗の原因になることもあります。
原因1とは真逆に、自主性(考えて行動してもらうこと)を重視する方も世の中には多くいます。実際、自分で考えて行動してくれる従業員になってくれると、「効率の良い店舗作り」「クレーム対応」「業務の優位付け」などを個人で最適化して良いアプローチを実施してくれようになるのです。
しかし、そこを求めすぎた結果、業務に関するコミュニケーションが不足してしまい、いつの間にか壁ができ相談しにくくなります。

原因3:教育に必要な知識やノウハウが不足している

「初めての部下でどのように教えたら良いか分からない」「無口な子だからどういう風にコミュニケーションを取ればいいかわからない」「俺の時代は怒られたけど、今って怒ったらダメだよな?」など教育ができない状況にあるケースは少なくありません。
このように時代や人に合わせた教育方法・育成方法の学習不足の場合は、管理側が知識として習得することが重要です。

飲食店がスタッフの教育に注力するメリット

飲食店に限らずスタッフの教育は業種業態を問わず、以下のメリットを享受できます。

  • サービス(接客)品質の向上
  • ブランド力の向上
  • 生産性の向上
  • 人材の定着

サービス(接客)品質の向上

細かなスキルの向上や自身で考えて動けるようになることで、臨機応変に最適な接客が可能になるため、混雑している店内でも混乱やトラブルを未然に防ぐことができます。
また、サービス品質が高まることで、お客様が気持ち良くお食事を楽しめ、飲食店自体の魅力も向上します。

ブランド力の向上

飲食店のブランド力を表す代表的なファクターといえば、外観や内装、食材などのイメージがあると思いますが、どれほどお店の見た目の質が高くても従業員の質が低ければ台無しになります。
一方でスタッフの質が高ければ、接客がお店の顔となり接客がブランドを形成します。
たとえば、「清潔感の高いお店ではないけど、通っている」「料理は普通だけど、通っている」「料理に対して値段が安いわけではないけど、通っている」などのお店です。「お店が近い」や「興味がないからなんでもいい」という考えでこのような行きつけがある方もいますが、食事を楽しみにしている人にとって、接客は重要なファクターの1つです。

実際、私も週1回以上はランチで必ず通っているお店があります。
もともと料理が美味しいのもありますが、店長・従業員さんの接客が良いという点が通う理由になっています。特に迎え入れてくれる「いらっしゃーい!!」と、送り出し時の「いってらっしゃーい!!」は、一人暮らしの私だからこそ重要視する理由です。

生産性の向上

注文受付・配膳・調理といった人が関わる部分は、人が作業しているのでどれだけミスがない人であってもいつかは必ずミスを起こしてしまう箇所です。
しかし、生産性や業務効率、ロスを生み出す行為に対しての考え方を教育することは可能です。「ホールオペレーションをもっとスムーズにできないか?」「食材の歩留まりを下げることは出来ないか?」「もっとお客様に喜んでもらえる接客はできないか?」など、それによって生産性が向上し、店舗の利益をより高めることが可能となるでしょう。

人材の定着

意外に見落とされるのが、人材が定着するという点です。
教育することで得られるメリットは大きく、モチベーションの向上や店舗への愛着、人間関係の良化が挙げられます。
まず、仕事内容が理解しやすくなるためモチベーション(働きやすさ)が向上します。すると、わからないから難しいから怒られるから、だから仕事を辞めたいという感覚が減り離職しにくい職場になっていきます。また、仕事がわかるようになると働くことが楽しくなり、店舗への愛着が湧きます。さらに教育によってお客様へのサービス品質が高まることで、クレームは減少し感謝される機会が増加することも少なくありません。

次に人間関係の良化ですが、性格が合わないことや考え方の不一致といった問題も人間関係に大きな影響を及ぼしますが、仕事ができないことも人間関係を悪化させる原因の一つです。ですが、スタッフを育てることで仕事ができるようになり、同じ考え方で行動することが人間関係の改善につながり、仕事を続けやすくなります。

私も飲食店でアルバイトをしている時に、考え方の違うアルバイトとすれ違いがありました。
今思えば当然のことですが、「楽しくバイトしたい」「言われたものを作ればいい」「美味しそうに盛り付けをしたい」「美味しそうに盛り付けをして、なるべく早く提供したい」など、考え方は十人十色です。そういうときこそ、シナジー効果を得るために相手への敬意をもって、共通の目標に向かう教育をするタイミングだと今だからこそ思います。

飲食店スタッフの教育の手法

それでは、ここからは飲食店スタッフの教育手法・育成手法について紹介します。

  • マニュアルを使った教育(OFFJT)
  • 現場に立って実戦で教育(OJT)

マニュアルを使った教育(OFFJT)

マニュアルは従業員を育てる手段として、頻繁に利用されるメジャーな手法です。
大手ハンバーガーチェーンもマニュアル作成に心血を注いでいることから、いかに高い効果を得ることができ、重要な手法であるか分かるはずです。そもそもマニュアルが存在しないと、接客やサービスのバラつき、責任者不在時にスムーズな対応ができないなどの問題が起こります。
そのため、飲食店を経営する場合はマニュアル作りを育成のたまの基礎として、最初に着手すべき項目だといえるでしょう。一方で一度作成してしまえばそのメリットは大きく、育成速度が速くなることやマニュアルに記されたクオリティの接客レベルを実現できる可能性が高くなります。

顧客満足度(QSC)を高めるための有効な対策の1つと言えるでしょう。

現場に立って実戦で教育(OJT)

OJTは、実務に取り組みながら実践的かつ必要な知識やスキルを身に付けることです。一般的に上司や先輩について一緒に実務に取り組んでいくので育成期間のコストは高くなりますが、現場の仕事を通じてフィードバックをすぐに受けられるという特徴や、指導する側も業務をしながら人材育成に取り組むというトレーニングができます。
ただ、実際の現場でのトレーニングになるので、当然お客様がご来店されている状態です。しっかりとマニュアル(OFFJT)に取り組み、一定の知識水準に達していることを確認したうえで、OJTに進まないとお客様にご迷惑をおかけすることになるので、OJTに参加できるレベルかの判断は必要です。

マニュアルの重要性

先ほども紹介しましたが、マニュアルは教育に欠かせないとても重要な手法です。
ここでは具体的な重要性について紹介します。

はじめての仕事に対する不安を軽減する

はじめての仕事は、どのような方でも多少の不安がつきまといます。
ですが、マニュアルを用意しておくことで、どういった業務に取り組むのか、どういった結果になればOK・正解なのかをイメージできるため、前向きに業務へ取り組むことができます。もしもマニュアルがない状態で、口頭だけで指導された場合はすべてをメモする必要があり、教えてもらっていることを見て覚えるよりも、後日確認ができるように抜け漏れなくメモすることに集中してしまいます。こうなると言って見せている意味もありません。

また、こうなったらどのように対応すればいいのかといったトラブルの対処法なども記載しておけば、ふいに問題に直面してもすべての従業員が同じ対応が可能で、問題から対策を逆引きできるので、管理者としても安心できます。

サービス品質を一定に保つ

マニュアルのメリットとして繰り返し説明しましたが、マニュアルがあることによって高品質なサービスを保てます。すべてのスタッフが共通のことを覚えて実践することで、スタッフのあたりハズレを無くし、すべてのお客様に同じサービスを提供できることで平等性を実現できます。
大手飲食店やコンビニチェーンで同じサービスを受けられるのは、このようにマニュアルの享受といっても過言ではありません。

飲食店の新人教育で大切なこと

最後に飲食店の教育で大切なことを5つ紹介します。

  • 新しいスタッフを迎え入れる体制を整える
  • コミュニケーションの機会を増やす
  • 繰り返し練習することでスキルを高める
  • 暇にさせない
  • 仲間として迎える

新しいスタッフを迎え入れる体制を整える

新しく仲間になる人が自身の第一印象を意識するように、お店の第一印象も大切です。
相手が働きやすく打ち解けやすい環境、迎え入れる体制をしっかりと整えておきましょう。

事前準備のポイント3選

  • 新人が入ることを共有する
  • 業務に必要な物を抜け漏れなく準備する
  • 教育担当を決定する

ポイント1. 店舗全体で新人が入ることを共有

事前に情報を共有しておくことで、既存の従業員は知らない人がいたら「あ、新人か!!」と判断できます。
新しい人が壁を感じたりしないように積極的な挨拶と自己紹介をするようにと、言葉を添えておくなどしてコミュニケーションをしっかりと取れるようにしておきましょう。

ポイント2. 業務に必要な物を抜け漏れなく準備

お店によって必要な物はことなると思いますが、定番の物としてネームプレートや制服、ロッカー、タイムカードのアカウントなどがあります。
これらを用意しておくことでスムーズに業務へ入れるだけでなく、新しい従業員も受け入れられているという安心感、しっかりしている会社やお店であると印象を持ってくれるでしょう。

ポイント3. 教育担当を決めておく

あらかじめ教育担当を決定しておくことで、新人は相談する相手が明確になり、教育担当も「自分が教える」という思いを持って業務に取り掛かれます。互いに意識することで、育成がスムーズに進めやすくなります。
万が一、教育担当を決めていない場合、誰が担当なのかわからず責任を負えないので新人がたらい回しにあったり、不信感を与えてしまったりします。

コミュニケーションの機会を増やす

従業員全体で意識して積極的にコミュニケーションの機会を増やしましょう。
コミュニケーションを取ることでスタッフ間の連携が強まり、具体的な指導がしやすくなるだけではなく、不明点の確認やちょっとした疑問なども解消しやすくなります。
また、OJT研修などもより進めやすくなることやストレスの低減も期待できるでしょう。

繰り返し練習することでスキルを高める

どのような業務でも繰り返し練習することでスキルを高めることが可能です。
特に調理やドリンクの準備など、どこに何があるかカラダに染み込ますことによって、反射的に必要なものを準備したり、反射的に盛り付けたりできます。

私もお弁当屋でアルバイトしていた時、盛り付け用の具(そぼろ・錦糸卵・高菜など)の位置は自身が採りやすい慣れた場所に配置し、最速のオペレーションができるようにピークに向けて準備していました。

暇にさせない

まさかの重要なことに「暇にさせない」とは…と思われているでしょうが、意外と心あたりがある人も多いのでは?新しく人を必要としているお店って大体すでに忙しいですよね。
私も色々アルバイトで働いていた際、「今忙しいから」「ちょっと待っていて」「のんびりしていて」など言われた覚えがあります。確かに役には立たない…何もわからないし…けど、そうは言われても忙しそうにしているのに、のんびりするのは逆にツライですよね。
そうならないためにも、小まめな業務指示する事リストを準備の用意など、対応できない時の対策を考えておきましょう。

仲間として迎える

新人というとなんとなく外部からの人間としてとらえがちで、既に作成されたコミュニティの中にいる人間はどうしても、部外者・よそ者という感じで接してしまうことがあります。しかし、そういった空気や態度は新人スタッフにも伝わりますし、それがきっかけで初日から人間関係が上手く形成されないこと場合もあります。

こういった初日のコミュニケーショントラブルを回避するには、仲間として迎える気持ちがなにより重要になってきます。どのようなスタッフが入ってくるのか、どういう心で迎えてほしいのかなど、あらかじめ共有し共通認識として理解させることで輪に迎え入れやすくなるでしょう。

まとめ

今回、飲食店にとって人材が重要なウェイトを占めているものとして、マニュアルの重要性やOJTによるトレーニングを紹介させていただきました。
教育の仕組みを事前準備することも大切ですが、それ加えて受け入れ態勢をきちんと整えて、すべての従業員が新人を仲間として迎え入れる姿勢を持つことも大切ですよね。

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