従来の予約は飲食店に限らず電話や直接来店によるものが主流でしたが、現在ではスマートフォンやパソコンからグルメサイトやSNSなどを通じ、インターネットでの予約が増えています。
システムによる予約の体制を整えておくことは、従業員の負担削減および本来注力すべき料理やサービスの向上につながるため、予約管理システムはぜひとも導入したいところですよね。
ですが、予約管理システムはサービス内容や初期費用、月額利用料なども会社によって異なります。自分のお店が予約管理システムに何を求めるかを考え、お店に適したシステムを選ぶ必要があります。
飲食店向け予約管理システムとは
予約管理システムとは、インターネットを経由して予約を受付し、それらの情報を管理できるシステムです。
従来の電話予約受付では必ず発生していた従業員の手間を削減でき、ダブルブッキングや予約の伝達ミスなどのヒューマンエラーも減らせるため多くの飲食店で導入されています。
顧客情報の管理や来客データの分析などの機能も充実しており、データ活用による集客力の向上に効果的です。また、決済システムと連携していて予約時に支払いができるもの、グルメサイトと連携しているものなどがあります。
予約管理システムの選び方と注意点
予約管理システムを選ぶ際には、まずはお店で必要になる機能を明確にすることが大切です。
最低限の予約管理だけでいいのか、グルメサイトとの連携が必要なのか、もしくは新規顧客獲得も狙えるようなものが必要なのかなど見極める必要があります。
費用から選ぶ場合、初期費用・月額利用料金が0円とうたっているものもありますが、必要なオプションを付けたら高額になる場合や契約の縛り、データ提供の義務付けなどもあるので注意しましょう。
また、予約管理システムの中には美容室などさまざまな業種で使えるものと、飲食店特化型のものがあります。他業種でも使えるシステムを利用する場合は、お店にとって充分な機能が揃っているか必ず把握しましょう。
予約システムが必要な理由
電話予約だけでは取りこぼす予約がある
現代ではSNSなどの普及に伴い電話を面倒や苦手と感じる人も増えており、電話予約しかできない店はそもそも予約しないという場合もあります。また、予約の電話をしてみたけれど繁忙期で従業員がなかなか電話に出ず、予約を諦めた経験は誰しもあることでしょう。
予約システムの強みは電話予約と異なり、24時間365日予約を受け付けられる点です。仕事の関係で営業時間内には予約電話ができない方でも、システムを使えば早朝でも夜間でも予約が可能です。
予約管理システムを導入することで、他店に流れてしまっていた予約の取りこぼしの解消、すなわち機会損失を減らすことが可能になります。
電話予約は従業員の負担が大きい
電話予約の場合、電話を受けたスタッフが予約内容の聞き取りを行い、予約台帳への記入、管理者に伝達するケースが一般的ですが、この際に記入や伝達ミスが発生するとダブルブッキングや予約漏れが発生します。
そこで予約管理システムを導入することにより、予約に関するヒューマンエラーおよびスタッフの予約対応にかける業務負担を軽減できます。
予約の負担を減らした分、提供速度やサービスクオリティなどのクリエイティブな業務へ注力でき、顧客満足度の向上に繋げるなどのメリットがあると言えるでしょう。
顧客情報を効率的に管理・分析できる
来店頻度や販売商品の情報を正確に把握し、分析を実施し、経営改善に取り組むことは大切ですが、手書きの台帳やメモから来店頻度や販売情報、平均単価などを読み取り、分析、管理するのは非常に大変です。
ですが、予約管理システムがあれば頻度や来店人数、オーダー、単価などを一元管理することが可能です。これにより、顧客へのオススメ商品の提案や誕生日のダイレクトメール、限定クーポン発行など効率的な営業につなげられます。
飲食店ではリピーターの獲得が何より大切と言っても過言ではなく、この点からも予約管理システムの導入は必要であると言えるでしょう。
運営者が予約システムの検討をする際のチェックポイント
予約管理システムの利用を検討する際には、「機能・効果・費用」のバランスをチェックすることが大切です。
費用を比較する際に大切なのは、予約管理システムにかかる費用以上の効果が予約システムを導入することで得られるかどうかです。予約管理システムの中には初期費用、月額基本料金が0円というものもありますが、多くは必要な機能をオプションでつけることにより料金が発生します。
自社が予約管理システムに求めるものを明確化し、効果と費用のバランスがよいシステムを選ぶといいでしょう。
予約システムを導入するメリット
機会損失を減らす
前述した通り、予約システムは24時間365日予約受付が可能なので、見込み客のタイミングに合わせていつでも受けられます。
「今、お店を確定したい!!」「今日中に飲み会の場所を決めないと!!」といったお客様の希望に対応することで、諦めて他の飲食店に流れてしまっていた見込みをフォローすることが可能です。初回来店のお客様の場合はリピート獲得の機会が、リピートのお客様の場合はより密なコミュニケーションの機会を獲得するチャンスになります。
また、リアルタイムの予約状態も簡単に確認ができるため、予約を断られるといったストレスがなく安心して予約をすることができるのもメリットの一つです。システムによってはキャンセル待ちができるものもあるので、より多くの顧客の取り込みが狙えます。
スタッフの負担軽減
予約管理システムの導入は、これまで予約の電話対応に費やしていた人材コストと時間を減らすことに繋がります。
より少ない人数（人件費の削減や人手不足問題の解決）で効率良く店を回すことへ繋がり、人を減らさずサービス提供することで接客品質の向上、クオリティアップなどへとアプローチを始められます。
ダブルブッキングや受付漏れなどの心配も無くなり、働きやすい環境になることでスタッフの不安を軽減でき、きめ細やかなサービス提供に集中してもらうことで働きがいのある職場にできるのです。
顧客満足度の向上だけではなく、スタッフの労働環境に対する満足度向上にも繋がります。
顧客データの分析によるリピーター増加
予約管理システムには、顧客管理も同時に行えるものが多くあります。
ご予約いただいたお客様の顧客情報をデータベース化することにより、クーポンの配布や誕生日メッセージ等を活用することでの再訪促進を行えます。
また、性別や年齢層別の人気あるメニューと売れていないメニューの把握もできるので、効率的にメニューの入替を実施でき、顧客満足度の高いお店を目指すことが可能です。
飲食店向け予約システムの主な機能
予約受付・管理機能
予約受付・管理機能は、インターネットや電話で受けた予約を、日時別に登録し管理する機能です。
テーブル管理機能がある予約システムでは、店舗のレイアウトを事前に登録しておくことで予約状況をテーブルレイアウトで確認できます。窓際の席がどのくらい空いているかなどを視覚的にリアルタイムで把握できます。
事前決済機能
事前決済機能は、予約時にクレジットカードなどで事前に決済する機能です。
インターネットからの予約が普及したことで、ノーショーとも呼ばれる無断キャンセルや当日キャンセルが問題となっています。用意していた食材が無駄になり、席も空席となってしまい、無駄な人件費を必要としますので店舗側としては大きな損失です。
事前決済機能を利用すると、突然のキャンセルや無断キャンセルなどのリスクを減らすことに繋がります。
顧客管理機能
顧客管理機能は、顧客の氏名や住所・電話番号といった基本情報の他にも、利用したデータに基づいて顧客の好むメニューやアレルギー情報などを登録・管理できます。
この機能なら再来店までに期間が空いてしまった顧客の情報も正確に確認することが可能です。また、それらの蓄積されたデータを分析、顧客別の人気メニューを把握することで新しいアプローチや経営戦略にも活用できます。
電話予約との連携
予約管理システムでインターネット予約ができるようになっても、電話での予約受付も受付を続ける必要がありますが、予約をサポートしてくれる機能が予約管理システムにはあります。
電話番号に連動して顧客情報が引き出されるため、顧客情報を確認しながら電話応対が可能になり、音声も録音されるため聞き間違いを防げ、円滑な電話対応ができます。
グルメサイトやPOSシステムとの連携
多くの予約管理システムは、外部グルメサイトと連携する機能があります。
現在利用しているグルメサイトがある場合は、それと連携しているシステムを選択することが必要となるでしょう。予約システムとグルメサイトを連携することで、グルメサイトからの予約情報を自動でシステムに取り込み管理できます。
また、複数のグルメサイトの予約情報を一元管理することも可能です。
まとめ
飲食店向け予約管理システムは、予約をシステムに任せることによりスタッフの負担を大きく減らし、円滑な店舗運営や人件費削減が期待できます。また電話予約のみでは逃していた層の来店や、顧客分析によって集客力向上の効果も狙えるため、ぜひとも導入したいツールの一つです。
ですがシステムによって機能も異なり、初期費用や月額料金も大きく異なります。
そのため導入による効果と初期費用とランニングコストのバランスを考えて、お店にあったシステム導入を検討することが大切でしょう。
