飲食店オーナーの良くある悩みの一つにランチ営業をはじめるか否かというものがありますが、夜の営業がメインでありながらランチ営業を行っている飲食店は多数見受けられます。
ランチ営業でより安定した売り上げを獲得することに成功している店舗がある一方で、ランチ営業を始めたものの1年以内で撤退を余儀なくされたというケースもあり、ランチ営業は儲からないという噂もまことしやかに囁かれているのです。ランチ営業には明暗を分けるポイントがあり、それを理解したうえでランチ営業にトライすれば収益増加を見込むことができます。
ランチのメリット
夜のメイン営業以外にもランチ営業を行うのはいくつかのメリットが期待できるからです。 本来なら一円のお金も生み出さない休止時間に営業をすることで、お店の稼働時間が長くなり夜の本営業には及ばぬものの多少の利益を生み出すことができます。さらに、夜の営業時間で使い切ることができなかった食材の余りを生かしてランチを作ることで、食材を無駄にすることがなくなり仕入れた食材の利用効率がアップするのです。
そして何よりのメリットは夜営業の宣伝になり、集客率アップにつながることが期待できる点にあります。最近ではランチの原価率を高くして美味しいと評判になるようなメニューを提供することで、昼は薄利ではあるがそのかわりに広告が出来ていると捉える店も増えてきているのです。
ランチのデメリット
ランチ営業から撤退せざるを得ないお店が出てくるのは、それなりのデメリットが存在するということの証です。夜の営業に比べると客単価が安く、人件費や光熱費によって簡単に赤字になってしまう可能性があります。ランチの価格競争は激しいものがあり、短時間で客を引き付ける売りがなくては競合店との争いに勝つことはできません。
なにより、ランチ営業の一番のデメリットは働く時間が長くなることによるスタッフの身体の負担が大きくなるということです。夜の営業時の後半に疲れが出てサービスがおろそかになってはランチ営業が本営業の足を引っ張っているということになります。
メリット・デメリットを踏まえた営業判断基準
ランチ営業をするべきかどうかで悩んだ時には、メリット・デメリットを検討したうえで、今の立地条件でランチの需要がどの程度あるのかを確認することが大切です。
ランチ営業の店、牛丼店や弁当店、コンビニなどが近くにない場合はランチの需要がないということですから勝算はないと考えた方がいいでしょう。もし競合店がある場合はランチの需要があるということですから、ランチの営業時間や仕込みにかかる時間、スタッフの人件費などを具体的な数値を出してシミュレーションして、一日に何人のお客様で黒字になるのかを把握してから最終的な決断をすることが第一歩です。
ランチ営業のメリットは「プラスαの利益アップ」
基本的には食材の無駄を出来る限り減らすような工夫やメニューを絞ることによる業務効率化で人件費の削減やオペレーションの単純化と、短時間勝負でお客様を引き付ける何らかの売りを作るというランチ営業のメリットを最大限に活かす工夫が利益アップにつながりますが、テイクアウトや宅配という手法を取り入れてみるということも検討する価値が十分にあります。
ランチ営業は時間との勝負でありランチで空席を待つということはよほどの人気店だけの例外であり、通常は待ってくれませんからテイクアウト専用メニューを作り店外のお客を獲得するという試みは成功例も数多い効果的な手段となります。また、宅配はすべて自前でやることは困難ですが、全国展開している「やどかり弁当」や「ウーバーイーツ」などを利用してノウハウや営業のサポートを受け法人向けの宅配を獲得することに成功すれば、大幅な収益アップが見込めるでしょう。
まとめ
ランチ営業にはデメリットもありますが、多くのメリットがあることもわかって頂けたと思います。「営業判断基準」で記載したように一度、店舗がランチ営業に対応できる環境か、また一緒に働いているメンバーのモチベーション、身体のコストを維持出来ることを明確にしてからチャレンジしてみてはいかがでしょうか?