POSデータの簡単活用!売上アップにアプローチできる分析方法を紹介。

飲食店向け情報

業種業態を問わずいたるところで目にすることになったPOSシステムは、あらゆる来店データを蓄積することで、高度な分析ができる飲食業界・飲食店経営にも欠かせないサービスになりました。
しかし、POSデータを解析して分析するのは難しそうと後回しにした結果「今さら分析方法は聞けない!」、「考えたりPOSデータをまとめたりするのは難しそう!」とあるのはわかっているけど、触らぬ神に祟りなしと見て見ぬふりをしている人もいるのではないでしょうか?
そこで今回はPOSデータ活用をテーマに、飲食店でPOSレジを活用する「メリット」や「見るだけで簡単にアプローチ方法を考えられる場所」、「使ってみたくなる分析手法」をご紹介します。

そもそもPOSデータ活用ってなに?

POSデータは、Points of Sales(ポイント・オブ・セールス、販売時点情報管理)と呼ばれるシステムで扱われるデータです。何が、いつ、どのくらい注文されたか、いくら売上げがあったなどのデータを指します。
すなわちPOSデータを獲得すれば、あなたのお店のお客さまがどのような料理を頼んでいるのか、何に興味があるのかといった行動と興味関心を知ることができます。また、このデータはPOSデータ獲得環境を整えている限り、正確かつ膨大に蓄積されていきます。これらの蓄積データを基にお客さまニーズを把握/分析することで、店舗改善や新しい施策の実施を行うことがPOSデータ活用です。

POSデータの活用方法とメリットは?

お客さまの行動がデータでわかるPOSデータですが、最大のメリットは誤りのない蓄積データを見ることで、それをもとにアプローチができるという点にあります。

例えば、以下の用途でよく活用されています。

キャンペーンにアプローチできる
売れ筋や死に筋のメニューがわかる
予測の精度が上がる

キャンペーンにアプローチできる

POSデータを見ると、セットで注文されている商品を把握することが可能です。お店全体で売れやすい商品の組み合わせはもちろん、お客さまをグルーピングすることで、特定のグループが好きな商品の組み合わせも把握できます。お客さまの趣向に合わせて対応できるので、よりインパクトの強いキャンペーン施策を考え実施できるという大きなメリットがあります。
また、データをもとに施策を考えているので、しっかりと施策を振り返りが可能です。施策が成功した場合、考え方やアプローチ方法が正しかったことになるので、次回も同様の考え方、アプローチ方法で施策を作成することで精度の高いアプローチが可能になります。
失敗の場合は、データに基づいて施策を考えたが、考え方またはアプローチ方法が想定していたニーズとマッチしなかったことになるので、再度データを基に試行錯誤する必要があります。

売れ筋や死に筋のメニューがわかる

売れ筋の商品が売れなくなったり、死に筋の商品が急に売れ出したりした場合、POSデータを使わずとも多くの人がその挙動に違和感を得ると思います。
しかし、ここでPOSデータを取得しておくことの大きなメリットは、中長期的なデータを基にした転換点を把握できるという点です。売れ筋が売れなくなった時点を把握できることで、メニューのリニューアルや価格調整などのテコ入れをスムーズに実施でき、新商品が安定して売れ出した時点を把握できることで、次の新しい商品開発/販売開始のタイミングを売れる時期に合わせて動けるようになります。

予測の精度が上がる

先述した内容になりますが、POSシステムを使い続けることでお店には膨大なデータが蓄積されていきます。蓄積されたデータはお店独自のデータになるので、予測に使うデータとしては最高レベルに重要で精度の高いモノです。
売上予測を高い精度で立てられることで、人材は必要になる最適人数を配置することができ、食材も最適な量を発注することができます。最適な量の食材を発注することができることで食材ロスを減らすことができ、コストを削減し、利益をより多く残すことができます。なにより、必要な量を最適に発注できることで、鮮度の高い食材をお客さまに提供できることで、よりお客さまに楽しんでいただける美味しいお食事の提供を可能にします。

飲食店POSデータで見ておきたいポイント3選

「分析は難しい!」、「一目でわかるものはないの?」、「時間がない!」といったご意見もあると思います。そのような方にオススメできる、1つのPOSデータを見るだけでお店のことがわかり、活用・施策を考えられる3つのポイントがあります。

簡単に見られる3つのポイント

時間帯別の注文内容を見る
在庫状況を見る
原価率を見る

時間帯別の注文内容を見る

時間帯別の注文内容と売上を確認とあらゆることが見えてきます。

例えば、以下のような情報を見ることができます。

時間帯の売り上げムラ
ピークタイムの正確な時間帯
予定と違う営業成績の原因

この時「毎日お店にいるからPOSデータが無くてもおよそイメージできる」という意見もあると思いますが、POSデータを使うと数日、数週間、数か月、数年と使った単位の蓄積データを利用できます。そのため、より精度の高い、よりあたりの強い施策などを根拠のある状態で実施することが可能です。
それを基に例えば、以下のような施策を検討できます。

時間帯によっての売り上げのムラ暇な時間帯を活性化し全体の売上げアップへのハッピーアワー・キャンペーンを実施
ピークタイムの正確な時間帯正確なピークタイムを把握することで、人手の厚さをコントロール(スタッフ数の最適化)、無理のない仕込みのスケジュールを構築
予定と違う営業成績の原因想定していた着地目標と、ズレが生じた時に原因の基となったポイントと理由を明確にする

在庫状況を見る

これも「冷蔵庫を見れば一目でわかる」と思われがちなものですが、仕入れ数をしっかりと入力し、メニューごとに「豚バラ30g」・「ポテサラ100g」といった1商品ごとに必要となる材料データを設定することで、消費量が明確になり数字で在庫を把握できます。
また、下記の原価率と組み合わせて見ることで、オーバーポーション(レシピより多くの食材を利用してしまうこと)による粗利の食いつぶしを防ぐことも可能になります。

原価率をみる

採算に合った料理提供ができているかを把握できます。
メニューの原価を設定することで、メニュー別にいくつ売れたかわかると同時に、原価がどれほど計上されたかもわかります。
明確な原価率がわかることで、発売開始時に目標としていた原価率を維持できているか、提供コスト(発注/下準備/料理/ロス)と掛け合わせて考えた際に、満足いく利益を残せているのか判断が可能です。

飲食店POSデータで知っておきたい分析方法3選

POSデータの数字を基にした、データ活用・分析テクニックを3つご紹介します。
分析は現状を把握し、正確な施策を実施するための下準備です。解決したい課題やインパクトが大きいと想定される場所から着手することをお勧めします。

バスケット分析(併せ売り)
ABC分析(メニュー調整)
RFM分析(グループ別の施策立案 会員機能必須)

ついで買いを見る!バスケット分析

バスケット分析は、POSデータを基に商品同士の関連性を見つけ出し、効果的な併せ売りを実施するための手法です。
2つの商品(商品A・商品B)の注文数・同時注文数などから、「商品Aは単品注文より、商品Bとの同時注文されることの方が〇倍多い」といった販売の実態を把握できます。
実態を知ることで、セット販売でのキャンペーンを実施したり、商品Bを注文されたお客さまには商品Aを進めたりすることが可能です。売上げの拡大にも貢献できるのですが、「ご一緒にいかがですか?」と勧めた際に、邪険にされたり、嫌悪感を抱かれたりされにくい組み合わせでの提案ができる点もバスケット分析のメリットになります。

メニュー調整で売上げアップ!ABC分析

ABC分析は売上げ比率などを基に、商品のランクをA・B・Cと評価付けする手法です。

Aランク全体売上に対する構成比率が高い、売れ筋の商品。
BランクAになりうる商品。
Cランク全体売上に対する比率が低い、入れ替え候補の商品。

売上げ全体(100%)の「40%をAランク」・「50%をBランク」・「10%をCランク」と評価することで、以下のようなことがわかります。

どの商品が利益を出しているか
原価率への影響が大きい商品は何か
仕込みなどの時間的コストと利益が釣り合っているか
売りたい商品をしっかりと販売できているか

また、分析時に原価や利益率、調理に必要な時間などを抽出してデータ化しておくことで、以下が可能になります。

Aランクの商品だけど、利益率も悪いし手間もかかる…もっと効率のよい手順や商品と置き換えられないか。
Bランクの商品だけど、利益率がめちゃくちゃいい!Aランクに引き上げるに付加価値を付けたり、調整することはできないか?
Cランクの商品なのに、わざわざ販促用のポップ置かなくていいでしょう!Aランクのポップに変えましょう。

お客さまの状態別にアプローチが可能に!RFM分析(会員情報必須)

お客様を「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額合計(Monetary)」の3つの指標で、分類分析するのがRFM分析です。
RFM分析を実施することで、お客さまを属性ごとにグルーピングできます。そのため最適な販促活動を実施が可能になりますが、一人ひとり会員化し、顧客データを獲得しておく必要があります。

RFM分析に必要な項目

(R)最終購入日来店日が直近であるほどポイントが高く優良
(F)購入頻度来店頻度が高いほどポイントが高く優良
(M)購入金額合計購入金額が多いほどポイントが高く優良

評価軸は3段階(合計9点が最大)または、5段階(合計15点が最大)といろいろあります。細かくするほど細分化しやすくアプローチの精度は高くなりますが、細分化することでより多くのキャンペーン施策は必要になり、施策を実施した後の振り返りも必要になります。

評価軸は3段階(合計9点が最大)または、5段階(合計15点が最大)といろいろあります。細かくするほど細分化しやすくアプローチの精度は高くなりますが、細分化することでより多くのキャンペーン施策は必要になり、施策を実施した後の振り返りも必要になります。
後々負担にならない、継続して実施検証を続けていける分類わけがオススメです。

グルーピングは優良・安定・休眠掘り起しなどを作成し、点数や条件ごとに振り分けます。

優良○点以上かつ、購入頻度は最高得点
安定△点以上□点以下かつ、購入金額合計は○点以上
休眠掘り起し最終購入日が○点以下かつ、購入頻度は○点以上

その後、分類したお客さまにどのように行動してほしいか考えます。

優良今以上に満足度を高めたい。よりファンになってほしい。
安定客単価アップよりも、頻度を高めたい。
休眠掘り起し昔はよく来てくれていたのに、全然来なくなった。また来てほしい。

行動してほしい内容に対して、施策を考え実施します。

優良満足度を高めるため優良顧客の情報を店内で共有し、より質の高い接客を実現する。
安定来店マラソンイベントや、複数来店で使えるクーポンの配布。
休眠掘り起し新メニューの案内や、クーポンの配布。お店の変わった点について案内。

まとめ

POSレジで獲得できるPOSデータには、飲食小売など業種業態の垣根を超えたさまざまな活用方法があることを知っていただけたかと思います。
POSデータ活用には、情報をまとめたり細分化したりと地味で大変なこともありますが、低価格でデータ取得が可能になった今こそ売り上げ拡大のチャンスです。
読んでみたけど・・・「やっぱり苦手だな・・・」という方は、「週に一度売れ筋と死に筋が変わっていないか現状確認」・「時間帯別の売上げから、特定の時間の売上げアップ施策」を考えてみるのはいかがでしょうか?

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